35,〜上野(09:38)

(前日の同項目を参照)

さて、青森到着前後までには、長くてかつそれなりに行程もハードだったこともあり、北斗星の車内で眠ることに。なのですが、朝の時間も有効活用したかったので、4時30分ごろにアラームをかけておきました。そのこともあり、目が覚めたのは東北本線の仙台の手前。まだ外は真っ暗でしたが、刈り込みの始まりつつあるであろう、黄金色の稲穂の中を走っている頃でした。
さて、早起きしたのは早朝のすがすがしい空気感を楽しむとともに、殆ど人のいない車内を色々と見て回ろう、という目的もあった訳です。まずは昨日混雑していて入れなかった食堂車「Grand Chariot」へと移動。

編成の1両をそのまま食堂車として利用しているので、営業時間中を含め、通り抜けはいつでも可能になっています。そのこともあってか、営業時間ではないこの時刻にも、車内はテーブルランプを含め、煌煌と灯りが静かに灯されていました。

車内には2人掛けのテーブルと4人掛けのテーブルの2種類が設置されています。こちらは4人掛けのテーブル。翌朝の営業の為か、テーブルクロスも丁寧にセットされていました。

テーブルライトを撮影。足元からコンセントが出ているので電灯だと分りますが、簡素ではあるものの足元には装飾が施されていて、今では数少なくなってしまった列車内での「食堂車」の雰囲気を伝えてくれています。

営業中はサービスカウンターとなる付近を撮影。扉もシャッターも閉められており、早朝の食堂車の車内は静かな雰囲気に包まれていました。
この後暫く乗車率の調査を兼ねつつ車内を散策。流石に連休中ともあり、開放B寝台の上段に少々空席があるほかはほぼ全部の寝台が埋まっている様子でした。
その後は部屋に戻り、明けて行く空の雰囲気を楽しむことに。

5時を過ぎると、辺りは少しずつ明るくなり始めます。次第に車窓の風景も見えるようになってきました。まだ多くの人々が寝静まるこの時刻、黄金色の稲穂が一面に広がる中を、ブルーの客車たちは東北本線を、上野目指して走ります。
その後は個室内で1時間ほど転寝しつつ、ぼんやりとしていました。この間丁度仙台〜福島間を走行していたのですが、丁度始発列車の運転時刻と重なり始め、何度か719系普通列車とすれ違うようになりました。
さて、6時半近くなってきたので、いよいよ食堂車へと向かうことにします。営業開始より少し早目の時刻に食堂車の待合所となるロビーに移動。既に3.4人の人が並んでいましたが、まだ時間帯もそこそこ早いこともあって、まだまだ余裕がありそうです。この前後におはよう放送が入って、食堂車の案内などが告げられた後で、営業開始時刻となりました。
車内に入り、先程見かけた2人席に座ることにして、朝食を注文。この時は写真を撮らなかったのですが、メニューは和定食と洋定食の2種類があり、どちらもメインの料理は同じなのですが、和定食はそれにご飯と味噌汁、洋定食はそれにパンとスープがセットになっている、というもの。今回は洋定食を注文し、待つこと5分ほどでまずパンとスープが出て、その後メインの料理が運ばれてきました。今や数少なくなってきた食堂車の雰囲気を楽しむ折角の機会、ということもあったので、普段よりもゆっくりと食事を頂きます。食後にはコーヒー/紅茶のサービスもあり、述べ40〜50分ほど滞在しました。
その後は起きだしてきた人々も増えてきたこともあって、再び自室内に籠り、のんびりと寛ぎます。気がつけばいつの間にか黒磯を過ぎ、直流区間に変わり、すれ違う普通列車の雰囲気も随分変わってきました。いよいよ関東近郊エリアに戻ってきたのだな、と実感します。

大宮の到着前の放送で、個室のカギを大宮出発後に回収する、との案内が入ったので、折角なのでカギを撮影しておきました。一夜限りの短いしようでしたが、キーホルダーにはきちんと「SOLO」のロゴと北斗星ヘッドマークが烙印されてあり、丁寧に作られているのだな、と実感。
大宮を過ぎると湘南新宿ライン京浜東北線などと並走。終点の上野駅ももうすぐです。
やがて赤羽を過ぎた頃に放送が入り、間もなく上野駅に到着との放送が入りました。長い旅路もこれで終わりなのだな、と思いながら列車はゆっくりと上野駅に到着。

列車の側面の随所に配置されている北斗星のロゴを撮影してみました。運行開始から大分年月が経過したこともあり、一部すり減っている個所もあります。上部には「TOKYO」と「SAPPORO」のロゴが入れられており、その間を結ぶ青函トンネルの「539」のロゴが、青函トンネルにより、本州と北海道が鉄道で直接繋がったことでこの列車が運転開始された時期を思い出させてくれます。ちなみに539、というのは青函トンネルの長さが53.9kmあることからそう呼ばれるようになったもの。

乗車時にも撮影しましたが、行き先幕を再度撮影。上野駅に戻ってくると、また違った雰囲気を感じさせてくれます。
その後はホーム先頭の機関車の付近に。

この日の牽引機はEF81-81。標準的なEF81ですが、側面に流れ星の入ったちょっと特別なカマ、ということでラッキーでした。まあ乗る分にはさほど違いは無いのですが、やはり牽引のカマが違えば中々気分もいいものですね。

最後に機関車のプレートと北斗星ヘッドマークを撮影。東京近郊では見慣れた光景ではありますが、やはり北海道から乗車した後に見るとまた違った感慨がわいてきますね。
その後はホームで列車が発車するまでの間、機関車の観察などをしてゆっくりとしていました。15分ほどして、今度はEF81を末尾に置いての推進運転が開始。到着ホームの14番線からその姿が見えなくなるまで、じっと見送った後で、ホームを後にしました。

これにて長かった北海道旅行も終了。夏真っ盛りでも、紅葉の見頃というシーズンでも無かったのですが、広々とした北海道の土地の空気を楽しむことの出来た、よい旅行となりました。