19,新潟→新潟(07:44→17:11)

↑小出
キハ52-137
キハ52-127
キハ28-2371
キハ58-1022
↓新潟

新潟駅にて

列車の扉が開いた瞬間、デッキ付近にいた人たちは一斉に近くの階段向けて猛ダッシュ。急ぎ跨線橋を渡り、隣の5番線ホームへと全力疾走です。取り敢えず人の少なそうな列を目指して、何とか2番目の場所を確保することが出来ました。
・・・というのも、今日これから乗車するのは、新潟から磐越西線を経由して会津若松へ、さらに只見線を経由して小出、その後再び上越線信越線経由で新潟に至る「磐西・只見ぐるり一周号」。毎年恒例のイベント列車なのですが、今年はこの春定期運用を離脱した国鉄色キハ28.58.52を贅沢にも(?)用いた上記の編成での運転。ということもあって、恐らく最後となるであろう多客列車ということもあり、多くのファンが押し寄せた、という訳です。この時点で並んでいたのは、主に新潟宿泊組と、東京からのムーンライトえちご組、に二分されていたようです。

各車両の乗車目標はどうなっているのかな、と心配していたのですが、出入口毎にこうした表示プレートが設置されていました。こちらはキハ28用の目標なのですが、後方のキハ28.58はいずれもボックスとロングシートのあるクロスシート、一方の前よりキハ58の2両はオールボックスとなっていました。
その後自分と同じようにわざわざ朝早くから並ぶ手間を惜しまずに来た人たちと暫し談笑。同業者はどちらかと言えばキハ52の方に多かったのですが、それでもどの乗車口でも「どちらから来られたのですか?」を皮切りに小一時間は話せるぐらいの人が3.4人は並んでいました。
そうしているうちに、まだ暗かったホームで次第に夜は明けてきて、6時を過ぎると次第に一般客と思しき雰囲気の人たちも並び始め、7時前には各乗車口とも20人程度が列を作って乗車している形になっていました。
そしてダイヤ情報で確認してきたとおり、7時8分になると新津方面からの回送列車が到着。長い座席確保の時間待ちも、漸くこれで終わり。
ホームに列車はゆっくりと入線し、そしておもむろに停車。そしてドア扱いとほぼ同時に一斉に車内に入り、座席確保の為に猛ダッシュ。これほどまでに慌ただしい座席の争奪戦は後にも先にもないだろうな、と後から思ったりもしたのですが、何とか希望通り、右側のボックス席の進行方向側の席を確保することが出来ました。ちなみにキハ58.28ではそれぞれ車両毎に4ボックスしかそうした座席がなかったので、中々ヒヤリとさせられるイベントでした。

そして、発車まではまだ30分以上の待ち時間があるので、ここで座席に荷物を置いて、暫し撮影や食事の購入タイム。買い物は何時でも出来るので、まずは先に向かいのホームまで歩いてきて、キハ52の顔を撮影。定期運用を離脱して久しい車両ではありますが、こうしてまだ国鉄色キハ52が運行している姿を見ることが出来て良かったな、としみじみ。

その後は後方から、キハ58の顔を狙って撮影。この直後に別の列車が入線してきたため若干あわてていたので、構図が乱れていますが御愛嬌。嘗ては全国各地で急行列車として運用に就いていたこの車両も、検査の都合もあり、もうすぐ旅客運用は終了となります。今や全国各地に数えるほどしかいなくなってしまったこのキハ58の活躍する姿に、若干遅ればせながらも立ち会えてよかったな、という感慨に胸が満たされます。

各車両の側面には、このような特製のサボが設置されていました。比較的昔からの定期的な運行ともあり、割合落ち着いている印象を受けました。

キハ58側では、このようなクリーム色の背景に、淡い緑の看板を見ることが出来ます。

その後は昼食のお弁当を買いに、改札口方面へ。休日の朝ともあり、駅弁は多数取り揃えてあり、どれを食べるべきか迷う位の品揃えで助かりました。帰り際に信越線の発車案内を撮影。この日はほくほく線沿線に向けて、臨時快速「ほくほく大地の芸術祭」も運転されており、駅の発車案内は臨時列車の表記で随分と賑わっていました。
さて、その後は再び車内に戻ります。これから丸々一日に渡る国鉄気動車の旅がいよいよスタートです。

新潟→会津若松(07:44→10:30)

高らかな発車を告げる心地よい笛の音の後に、列車は定刻の07:44に、高々とエンジン音を唸らせて発車。多くの観光客が入線後も乗車してきたため、新潟発車の時点で既に立ち客が何人かちらほらしている程度の乗車率でした。
その後暫くは信越本線の線路に沿って電化区間を走ります。特急の北越を始め、多くの列車が行き交う区間ともあり、そこそこの速度で新津までの区間を飛ばします。沿線にはこの国鉄色の編成をカメラに収めようと、電化区間ながら多くのファンの姿を見ることができ、昨日の大糸線よりも一段と高い人気を感じました。
列車はその後亀田、新津に停車し、それぞれの駅でそこそこの乗客を拾います。その為に車内も相当の立ち客が出始め、移動するのもやや窮屈な位の混雑率に。ここで一昨日の晩高崎で分れた後輩と合流。既に入線の光景などを何枚か撮影してきたようで、少し羨ましいな、とも思いつつも、希望通りの座席が取れたのでまあ良しとしましょう。
その後列車は磐越西線に入ります。非電化区間ともあり、線路際から架線柱がなくなったので、周囲の景色をのんびりと見回せるようになりました。次第に田園風景が増えてきて、国鉄色の似合う光景だな、と思いながら、30分ほど列車に揺られ五十島駅に到着。ここでは普通列車の交換待ち、ということで、一旦ホームへと下車してみることにしました。

ホームは車内に乗車していた人たちが息抜きも兼ねて大勢下車して大わらわ。先頭車付近には澄み切った秋空の下で、太陽を受け輝くキハ52の姿を楽しむことが出来ました。下から見上げるアングルで、その正面の顔を1枚。

折角なので、ホームの新津方に回り、キハ58の顔を撮影してみました。逆光となることもあり、多くの人々で賑わう先頭車とは違って、こちらは逆光になることもあり撮影している人は僅かでした。やはり急行型らしいどっしりとした面構えが、国鉄らしい雰囲気を感じさせてくれます。

そして、再び先頭に回ってキハ52の顔を撮影。こちらまで回ると側面にも日が回り、アウトカーブの構図から前寄り2両を撮影することが出来ました。背景の山並みも僅かながら色づき始め、秋の澄み切った青空と共に、キハ52の背景としていい雰囲気を出してくれているように感じました。

その後、会津若松方面からの普通列車が到着。新潟色のキハ40.47による運転でした。瓦屋根の街並みを背景に1枚。まだ数多く残っているためにあまり注目されない車両ですが、機会を見つけてなるべく多く撮影しておきたい車両ですね。
そして車内に戻ると暫くして、列車は会津若松へ向けて発車です。列車はその後10分ほどで津川駅に到着。その後は会津盆地の喜多方までノンストップで走ります。

津川を過ぎると、今まで平野の中を走っていた線路は、次第に阿賀野川沿いの渓谷に沿って走るようになります。静かに揺らめく阿賀野川の水面と、少しずつ色づき始める山々が綺麗だったので1枚。1年中濃い緑色の針葉樹と、紅葉の始まった広葉樹との間で、随分と色合いが違うのが分ります。

その後だんだん沿線からは人家も少なくなり、阿賀野川の渓谷を臨みながら走るようになります。秋空の澄み切ったブルーが、紅葉に染まり始めた山並みの背景としていい雰囲気を出してくれています。

時折駅が近付くと、周辺に何軒かの家が立ち並ぶ集落のそばを走ります。シンプルな家の様々な色合いの屋根と、山並みとが対照的で綺麗だったので1枚。

その後は阿賀野川を離れ、会津盆地への峠越え区間に入ります。展望は利かなくなりますが、キハ28.58の力強いエンジン音を楽しむことのできる区間なので、それはそれでまた一興。たまたま半径の小さいカーブだったので、前方車両を眺めることが出来たので、窓越しに1枚。木々の中を分け入るように進むキハ52の姿と、私と同じような考えからか、カメラをこちらに向けている方の存在が印象的です。

そして、有名な撮影地でもある山都の鉄橋にさしかかりました。車窓の風景としても、眼下に田園風景が大きく広がるのが美しく感じられる区間ですが、何より昔ながらの鉄橋を渡る国鉄色の編成は、ファンにとっては格好の材料なのだろうな、としみじみ。

その後峠を下り、再び列車は田園風景の中へ。会津盆地に入ってきました。刈り込みの終わった田んぼに秋の深まりを告げるかのように揺れるススキの存在が綺麗ですね。背景にどっしりと磐梯山がその姿を見せてくれました。
そして10:02に列車は定刻通り喜多方駅に到着。ここでも交換待ちの為10分ほど停車時間があるので、ホームに降りてみることにしました。

ホームの屋根が若干足回りに掛りましたが、停車中ながらも国鉄色の4両編成の気動車を綺麗に順光で捉えることが出来ました。

そして、ホームの端まで移動して望遠のかぶりつき撮影。側面がやはりつぶれがちになるため、ここまで来て撮影している人は僅かでした。

今度はホームの反対側まで移動して、キハ58側の編成を撮影してみました。先程とは違って顔が逆光で側面が順光になるため、露出の設定が難しかったのですが、何とか上手く収まりました。昔ながらのバラスト敷きの線路に、国鉄風のホームが国鉄色の編成に良く似合いますね。

折角なので跨線橋からの俯瞰撮影も1枚。製造のコンセプトが違うこともあり、屋根周りがやはりキハ58.28とキハ52との間で随分と違う様子が分かります。

発車までもう少し時間があったので、改札を出て途中下車印を押してもらい、駅舎を撮影してみました。駅舎は最近リニューアルされた感じのある、赤煉瓦と会津城の石垣を表現したスタイルの建物でした。
そして再び列車の中に戻り、発車を待ちます。この辺りから只見線へと出かける雰囲気の人も多いようで、車内は以前よりも混雑が増したような印象を受けました。
交換列車が会津若松から入線した後に、列車はゆっくりと会津若松にむけて発車。電化区間ながら線路は単線ということもあり、比較的車窓の風景は開けている印象を感じます。刈り込みも終わり、秋の深まりを告げるかのような会津盆地の田圃の広がりは風情があるな、としみじみ。20分ほどで、会津若松に到着しました。

会津若松→小出(10:58→14:56)

会津若松では休憩もかねつつ、30分ほどの停車時間があります。駅構内では駅弁の販売もあったようですが、この混雑ともあり買い物客が大勢押し寄せ、買えなかった人も随分いたのだとか。やはり早めに新潟で購入しておいて正解でした。

会津若松駅の駅舎を撮影。半年前にも訪れたのですが、その際は乗換時間があまりなかったこともあり、改札外で撮影するのは久しぶりでした。喜多方駅と同様、こちらも会津城を意識したつくりになっています。駅舎内には観光案内所を兼ねた施設や食事処もあるようで、一つの人の流れの集約地となることを目指しているようですね。

駅舎の前にはあかべぇの人形がおいてありました。確か首の辺りから上が周回運動をしていたような気がします。

ホームに戻ると、丁度新潟からの快速「あがの」が入線してくるところでした。JR東日本では良く見かけるキハ110と、新型のキハE120が混結での運転でした。

ホームの前よりまで移動して、キハE120の顔も撮影。国鉄型キハ40から最近のキハE120まで、随分と車両のバリエーションのある路線ですね。乗降客も比較的多いのか、扉は両開きのようです。

編成の側面には、このようなステッカーが貼り付けられていました。ロゴを眺めた感じでは、米坂線方面への運用もあるようですね。中央のりすちゃんは、名前は分からないのですが、SLばんえつ物語のヘッドマークでも良く見かけるキャラクターです。

その後暫くすると、郡山からの快速列車が到着。「あかべぇ」デザインの713系が4両と、標準色の719系2両での混結編成でした。幕は折り返し運用のためか、既に郡山行きになっています。
という訳で、短時間でこの地域を走る列車たちを色々と撮影できたな、と思いながら再び車内に戻ります。ここの駅では端のホームに停車していたので、編成写真は撮らずに終わりました。
そして発車時刻になると列車はいよいよ今日のハイライト区間となる只見線へ。車内は以前にもまして混雑が酷くなってきた気もしましたが・・・。

列車は発車後会津坂下附近までは、会津盆地の平野の中をのんびりと走ります。西若松を過ぎると市街地を抜け、先程と同様に刈り込みの終わった田圃の中をのんびりとした速度で走ります。光線の関係からか、この附近ではあまり撮影者を見かけなかった感じがしました。

盆地内ではやや雲が多かった印象を受けましたが、遠くには磐梯山が聳える姿を眺めることが出来ます。
会津坂下駅を過ぎると、列車はいよいよ只見線のハイライト区間へと入っていきます。

この後何度も渡ることになる只見川が、次第に車窓に近づいてきました。沿線にはダムが多いので、どちらかといえば川の流れを楽しむというよりはダム湖の静かな広がりを楽しむ形になります。5月に訪れた場所とは言え、やはり紅葉の時期の風景は美しいな、としみじみ。

険しい渓谷を縫うように走る道路のスノーシェルターや、谷間に静かに立つ一軒家の存在が、こうした自然の中にも人々の暮らしが根付いていることを実感させてくれます。

川を遡るにつれて、次第に山々の木々の色づき方が変わっていくように感じられます。ダムの近くからの光景です。

なみなみと水を湛えたダム湖の湖面の直ぐそばから、山の上まで、少しずつ色合いの違う黄色やオレンジの木々が、所々ある常緑樹をアクセントにして広がっていきます。中央付近にあるスノーシェルター付の道路も印象的ですね。

ただただ息を呑むばかりの車窓が只見川を渡るたびに一瞬の間ながらも目に飛び込んできます。四季折々が印象的とも言われる只見線ですが、やはり紅葉の時期はすばらしいものだな、と実感。

渓谷の間で時折現れる小さな平野部には、こうして小さな集落がひっそりと佇んでいました。色とりどりの屋根と、背景に広がる紅葉を始めた山々とのコントラストも綺麗ですね。

そして列車はゆっくりと会津川口駅に近づいていきます。このアーチ橋が近づいてくると、会津川口ももうすぐだな、と感じます。逆行気味のカットとなりましたが、橋の全容を上手く納められたので1枚。
その後列車はゆっくりと減速し、会津川口駅に到着。

ホーム脇からは、線路のすぐそばを流れる只見川のダム湖の静かな湖面を背景に、色づき始めた山並みを眺めることができます。

そのホームには、会津若松行のキハ40が丁度この列車の到着を待って発車するところでした。JR東日仙台色の塗装ですが、緑豊かな只見線の雰囲気にあっていて、個人的にもお気に入りのカラーリングです。

針葉樹と広葉樹の入り混じる雄大な山並みを背景に、キハ40はゆっくりと会津若松を目指して只見川を下って行きました。先程のアーチ橋と絡めての1枚。

ホームに停車中のキハ52を1枚。ホームには長時間の乗車の疲れをいやす人や、列車にカメラを向ける人で随分と賑わっていました。正面の検査表記は平成13年の9月。既に8年が経過し、本当に検査期限ギリギリの運転なのだな、としみじみ。

そして構内踏切から編成を撮影。停車目標が少々邪魔なのが残念ですが、紅葉の山並みを背景に国鉄色の編成を収めることが出来ました。線路脇の赤錆びたレールの留置線にも、どこか国鉄時代を彷彿とさせる雰囲気を感じます。

最後に、静かに佇む駅名票を背景に、国鉄色キハ52を絡めて撮影。この線路をこの編成が走るのも、恐らく今日が最後なのだろうな、と感じると、随分しみじみとしますね。
発車時刻が近付いてきたので再び車内に戻ります。
そして列車は次の停車駅の只見を目指して発車。只見川をどんどん遡って行きます。

沿線には数多くのダムがあります。たまたま鉄橋でダムの直近を横断する形になったので、紅葉の中に静かに佇むダムのコンクリート建築の形をカメラに収めることが出来ました。

この付近になると晴れ間が広がり、湖のように広がる只見川の川面が続く様子を眺めることが出来ました。遥か遠くまで続く、紅葉に輝く山々の連なりが美しいですね。
その後の会津塩沢付近の、只見線沿線では1番ともいえる景勝地区間を通過します。車窓は主に線路の反対側だったので、向かいのボックス席越しに楽しむにとどまりましたが、やはりダム湖越しに紅葉に色づく山々を楽しむことのできる、良い区間だな、としみじみ。

刈り込みの終わった水田の裏山が、色とりどりに輝いていました。
そして会津川口駅を発車して30分ほど。列車は只見駅に到着しました。

只見駅では10分ほどの停車時間が。急ぎ改札口を出て、駅の会津若松方へ移動し、ホームに佇む編成の姿を1枚。御覧の通り4両編成ではこの駅のホーム長に収まりきらないため、後方の2両はドアカットの扱いでの運転となり、下車する際には隣のキハ52の出入口まで歩くことになりました。やはりこの駅でも多くの人がホームに降りていたようでした。

その後、急ぎ線路を渡り、ホームの反対側からキハ58の後ろ姿を撮影。停止位置目標とそれを結ぶロープが少々引っかかりますが、思い思いの位置まで開いた窓の姿に、長距離運用をこなす国鉄気動車の雰囲気を感じることが出来ました。

列車の近くまで寄って撮影。少々暗くなってしまいましたが、駅での停車中の撮影とは言え、随分と秋らしさを感じさせてくれる風景の中で、キハ58の姿を記録することが出来ました。

透き通った鮮やかな空の下、国鉄色のキハ58が静かに発車待ち。足元に佇むススキも、また風情を醸し出してくれます。

同じようなアングルで、今度はキハ52を捉えてみました。空の綺麗に整ったすじ雲がまた美しいですね。走行写真風の撮影ばかりをしていると、中々列車を側面から捉える機会は少なくなってしまうのですが、秋の空の下で、キハ52の独特の側面の姿を記録出来ました。

そして広角寄りのアングルで、列車と駅近くの山を絡めて撮影。この編成が活躍する姿も、恐らく今回が最後なのだろうな、と思うと、何処か一抹の寂しさを感じずにはいられません。

その後は駅の改札口方面を目指して歩きつつ、先程の山バックにさらに距離を置いて1枚。停車中の撮影とは言え、雄大な紅葉の山々を背景に列車を撮影することが出来、良い思い出になりました。
もともと停車時間は10分ほどしかなかったので、急ぎ改札口へ。名残惜しい気持ちも感じつつも、只見線の最大のピークともいえる六十里越を目指すべく、列車に戻ります。

只見を過ぎると、列車は只見川沿いから次第に離れつつ、六十里越の峠へと差し掛かります。標高も周囲よりひときわ高くなることもあってか、紅葉の色づき方も一層増してきて、思わずため息が出るほどの美しい山並みを眺めることが出来ました。

車窓からは、遥か遠くまで赤や黄色と色鮮やかに輝く山並みを眺めることが出来ました。紅葉の時期の只見線も、一度は訪れてみたかったのですが、想像した以上にすばらしい景色で何よりです。
その後列車はいよいよ峠越えの六十里トンネルに入ります。長いトンネルともあり、中では独特のゴーというレールと列車との軋みによる音が響き、そしてレールの繋ぎ目を渡る音も反響して普段よりよく響いたような感じがしました。
10分少々して列車はトンネルを抜け、小出側へとやってきました。

この地域も紅葉は黄色の葉が中心でした。険しい谷を縫うように走る列車と、冬場の雪の厳しさを実感させるような長いスノーシェルターのついた道路の姿が、この地域の自然の力の強さを感じさせます。

渓谷を渡る際の鉄橋からもう1カット。下のほうを流れる渓谷の、清らかな水の姿が印象的ですね。

カーブに差し掛かった際に、今度は望遠レンズを用いてキハ52の姿を撮影。険しい山並みを背景に、一途に鉄路を走る国鉄色キハ52の姿を捉えることが出来ました。
そして険しい峠越えを終えた後、14:00に列車は大白川駅に到着しました。

到着後2.3分して、小出からの会津若松行きの普通列車が到着。只見線の全線を走破する、1日僅か3往復の列車です。先ほど会津川口で見かけたのと同じ、東北色のキハ40の2連で運転されていました。紅葉が目立ち始めた深い緑色に染まる山並みを背景にこのカラーリングは中々映えますね。隣に停車しているキハ52の姿も良いアクセントになりました。

この大白川駅。国道に面していることもあり、駅舎自体は無人駅なのですが併設する建物の中では土日の日中限定で、蕎麦屋さんが営業中。停車時間が20分ほどだったので、流石に食べに出かけた人はあまり多くなかったようでしたが、小さな駅舎がささやかな賑わいを持っていました。

列車の停車位置が川のほうのホームだったため、この駅では編成写真は撮らず、駅周辺をしばし散策して時間をつぶします。薄雲が広がる天気でしたが、キハ52の正面から柔らかな日差しがさしていたので、顔の一部アップにて撮影。嘗ては何所にでも見られた国鉄色でしたが、JR化後20年近くが経過し、そうした車両を見る機会も少なくなってくると、やはり随分と美しいカラーリングなのだな、としみじみと実感させられます。
そして20分の停車時間の後に列車は小出駅に向けて発車。今日の列車のハイライト区間も、もう直ぐ終わりです。

その後は列車は渓谷沿いに線路を下りつつ、破間川の渓谷に沿って走ります。この附近の紅葉も美しく、木々の色づき方が場所によって違うのが目に見えて分かります。渓谷の清流の姿もまた美しいですね。

時折渓谷を渡る際には、静かに流れる川面と、それとは対照的に厳しい渓谷の地形を眺めることができます。
その後列車は次第に渓谷を下り、周囲には平野部も増えてきました。それにつれて沿線の撮影者の数も次第に増えてきたような印象を受けました。

そして、小出駅が近くなり、すっかり川幅を広げた破間川を渡ります。次第に刈り込みの終わった田圃や住宅も増えて、もうすぐこの只見線区間も終わりなのだな、としみじみ。

最後に魚野川の長い橋梁を渡ります。こちらは源流からの距離が長いこともあり、やはり悠々とした流れを感じますね。
そして、列車は14:56に小出駅に到着。4時間あまりに渡る長い只見線の旅路も、これにて漸く終了です。

小出→新潟(15:15→17:11)

小出駅では再び20分ほどの停車時間があります。新潟を出発して7時間半。殆ど乗客の入れ替わりのなかった車内ですが、ここで東京方面の列車に乗り換えられることもあり、座席に座っていた人を含め随分多くの人たちが下車し、車内の雰囲気も随分変わりました。

折角なので改札を出て駅舎の写真を1枚。平屋建てのこじんまりとした駅舎でした。路線の分岐駅ともあって、係員は常駐しているようでした。

到着後暫くして、越後湯沢方面への普通列車が到着。短い時間ながら、国鉄色の編成と新潟色115系との並びを見ることが出来ました。

列車の発車後に、今度はこの国鉄色編成をズームにて撮影。只見駅から先は、こちらのキハ58.28が先頭に立つ形での運転となります。入線時にも一瞬だけ見られた姿ですが、ここに来て漸くヘッドライトを点灯しているキハ58の姿をカメラに収めることができました。

さらに望遠側に移動してもう1枚。やはり急行型のキハ58の姿は綺麗ですね。この辺りでは若干日も陰り、空気もやや冷えてきたので窓を開けている人は少なめでした。

その後は乗車の記念に、という形で、上越線ホームから只見線ホームを臨む形で編成の側面の姿を1両ずつ記録。まずはここから新潟までの先頭車となるキハ58-1022から。急行型らしい片開きの扉、ゆったりとした窓の配置が、いかにも国鉄らしい雰囲気を感じさせてくれます。

そして、2両目で私が乗車していた車両の、キハ28-2371。ホーム間に広がる広々としたヤードの赤錆びた線路と木製の枕木が、いかにも国鉄時代らしいバックグラウンドを演出してくれました。

3両目はキハ52-127が入っていました。こちらはボックスとロングシートの混在型の車両。普通列車用の車両ともあり、やはり左右のドア横にも座席が設置されているのが特徴的です。

そして、オールボックスキハ52-137が最後尾になり、これから新潟までの旅路を行きます。いずれも嘗ては米坂線を中心に今年の春まで活躍を続けた車両たち。受験などで忙しく、定期運用に就く姿に間に合うことはなりませんでしたが、こうして奇跡的にも臨時列車として運転する姿に立ち会えたのは本当に良かったな、としみじみ。

最後にキハ58側のホームの端から、ヘッドライトを点灯している同車両の姿を1枚。このいかにも国鉄色らしい重厚感のあるキハ58を間近で捉えることが出来ました。
この間に長岡方面へも先着する普通列車が到着。新津から連れてきた後輩はこの編成の撮影のため、先回りするためにその列車に乗車する形になり、ここでお別れ、という形になりました。
その後列車は15:15に長岡に向けて発車。途中駅はノンストップなので、快速とは言え、嘗ての気動車急行を髣髴とさせる雰囲気を感じさせてくれました。自分のボックスの人も半数が入れ替わり、新津から乗車して小出まで座れなかった、という人の話などを聞きつつ、今までの只見線とは違って、線路の規格が高い分だけ揺れの少ない上越線の線路を長岡目指してゆっくりと下っていきます。魚野川の流れを時折眺めたりしながら、30分ほどで長岡駅に到着です。

長岡駅では12分の停車時間があり、中線を挟んだ向かいに列車が停車する形になります。折角なのでホームに下りて編成の撮影に。キハ58を先頭にした編成写真はこの区間でしか撮影できない分、ホームには随分多くの撮影者が集まっていたような印象を受けました。

やや広角寄りに移動してもう1枚。個人的にはある意味定番とも言えるものの、望遠の被りつき写真が好みなので、いつもホーム端まで毎回移動することが多いのですが、やはり広角側だと列車の側面のカラーリングも綺麗に映し出せるのが魅力的ですね。橋上駅舎のため、編成の一部が陰になってしまっているのがちょっと残念です。

その後は列車の停車中のホームに戻り、キハ58の顔を一部アップで撮影。ホームの様子も写し取ろうとしたため編成の中途半端なところで切ってしまったのが少々心残りですが、こういうアングルも一興、ということで。
その後再び車内に戻り、発車を待ちます。
列車は定刻の15:58に長岡駅を出発。長かったこの旅路も、いよいよラストとなります。嘗ては特急列車や急行列車が数多く行き交ったこの区間も、上越新幹線が完成して以降は専ら地域の近郊輸送や貨物輸送に終始する路線となってしまい、途中駅の長いホームに僅かに往時をしのぶことが出来る位となりました。
臨時列車ということもあり、途中駅で退避する訳でもなく運転停車を繰り返しながら、ゆっくりと信越本線を走行。こちらも線路の規格が高く、走り心地は中々快適です。10月の末ともあり、新潟駅が近付くにつれて次第に暗くなりながら、残り僅かの国鉄色のキハ28の乗車を楽しみました。
小出で立ち客がちょうどいなくなる位の混雑だった列車は、長岡や新津などでも多くの人たちが下車し、空席も少々目立つぐらいの乗車率に。
「秋の日暮れはつるべ落とし」とも言われる通り、早くも日が傾き、辺りもだんだん暗くなり始めた頃に、漸く終点の新潟駅に到着です。

折角なので、列車の席番プレートを撮影して下車。このオーソドックスながら、国鉄らしいプレートは眺めていて随分と落ち着きます。

乗車時はすぐに座席が埋まってしまった為撮影出来なかった車内の座席もついでに撮影してみました。こちらは乗車してきたキハ28のボックス席。先程の後輩曰く、「原型に近い」との青モケットの座席が印象的です。

大方の人が下車してしまった後で、車内の全景を撮影。ボックス、ロングシート共に青モケットが貼られています。

そして、取り急ぎ隣のキハ52に移動して、同じように車内の座席を撮影。こちらも座席配置はキハ58.28と似ていますが、やはり乗降口付近にデッキが設置されていないのが、いかにも普通列車として製造されたキハ52らしい雰囲気を感じさせてくれます。

そして、車内の座席を撮影。キハ28と違って、こちらは赤モケットの座席です。これはこれで、シンプルで落ち着いた雰囲気を感じさせてくれるカラーリングですね。

車内に流石にこれ以上留まるのは憚られたので、名残惜しさを感じつつも下車。その後はホームからボックス席の様子を窓越しに撮影してみました。こちらはキハ52の座席。

そしてこちらが、キハ28の座席。乗車時は殆ど満員状態で運転されていた為、こうして初めて、この列車の車内がこんな雰囲気だったのだな、としみじみ実感しました。

最後に、キハ58の赤モケットのボックス席を縦アングルで撮影。今回がラストランではないものの、自分がこの編成に乗車するのは恐らく今回が最後なので、記録するのにも一際気持ちが入ります。

ホーム端では多くの人がこの編成の最後の姿を見届けようとカメラを構えていたので、キハ52の横から正面の顔を最後に撮影して、お別れ撮影としました。
その後まもなく、列車はエンジンの唸りをあげて、新津へとゆっくりと走り去っていきます。これが本当に最後の別れなのだな、と実感しながら、その姿が見えなくなるまで見送った後に、ホームを後にしました。