02,立川→松本(00:34→04:31)

↑白馬
クハ183-1525 (全車指定席/あさま色)
モハ189-28
モハ188-28
モハ189-37
モハ189-37
クハ183-1528
↓新宿

さて、立川からは松本までムーンライト信州91号に乗車です。この列車、それぞれの18きっぷ期間に細々とながら毎シーズンごとに登山客の為の輸送を中心としてきちっと運行されている、今や最後の中央線の夜行列車となってしまった列車です。しかも東京から北アルプス中央アルプス方面への輸送が中心となっている為、上り列車は設定されず、下り列車のみの設定というのもこの列車の一つの特徴と言えるかもしれません。
列車のおおまかな説明はともかくとして、立川駅のホームへと向かうと、この周辺地域から乗車する人も多いのか、ホームにはやはりこの列車を目当てにしていると思しき人たちが多数。また、ほかのムーンライト系の列車とは違って、登山客と思しき大きなザックをホームに降ろしたりしている人が多いのもこの列車ならではです。

ホームに到着すると2,3分で(まぁ発車ギリギリの列車に乗車したというのもあるのですが)、接近放送が鳴り出しました。中央線自体はまだ終電には時間があるので一般客も多いのですが、そんな中で少し行先表示版が異彩を異彩を放っているように見えました。

そして、若干の遅れを以て列車が入線してきました。編成は189系の旧あさま色。かつては上野〜長野間の輸送の主役だったこの編成も、今や大半が廃車となり、このような臨時列車や、団体輸送用を中心に、定期列車としては長野〜直江津間の普通列車妙高号」のみの運用となり、随分と活躍の場が小さくなってしまいました。それでもこのように文字だけながらもちゃんとした「ムーンライト信州」の前面幕はありがたいものです。
乗客が多く、客扱いに随分と時間がかかりそうだな、と見込んでいたので正面からの撮影を先程の様に済ませ、それから自分の車両に乗り込みます。この列車も万一乗車できないと後々大変だったので10時打ちで発券してもらったのですが、その際にはまだたくさんの空席があったので、当日もさほど席は埋まっていないかな、と想像していたのですが、流石にお盆前ともあり、その後どんどん残席が少なくなってしまったようで、車内では列車が指定券がないと乗車できないことやほぼ満席であることが放送されていました。
発車すると10分ほどで八王子に到着。ここからも若干の乗客を乗せて、いよいよ列車は中央本線へと分け入っていきます。八王子過ぎで検札があり、18きっぷに日付印を押してもらったりして暫く眠ることにします。
これからの山行のこともあり若干気も高ぶっていましたが、先に述べたとおり10日の朝まで九州旅行に出かけていたこともあり色々と疲れが溜っていたのでぼんやりとしていると列車の揺れに身を任せつつ、眠りに落ちていました。


ふと目が覚めると長時間停車の様な感じでした。どうやらまだ2時間程しか眠っていなかったのですが、どうやら富士見で時間調整の為の停車のようでした。まだ松本到着までには1時間ほどあるのですが、その場で何となく水を飲んでしまったこともあり目が覚めてしまったので、ぼんやりとしつつ残りの乗車時間を過ごすことにします。乗車時はあまり周囲の様子に気を配る余裕もあまりなかったのですが、簡単に見渡してみると、乗客は登山客が半分、残りは大糸線にでも向かうのであろう鉄道ファンや、この時期のムーンライトながらの混雑の為に指定券を確保できずやむなくこちらの列車を利用した、といった様子の人々が半分づつと、中々眺めていて面白いバリエーションでした。
この後も登山客のことを配慮してか、茅野、上諏訪、下諏訪、岡谷、と殆ど各駅の様に駅に停車していきます。乗降客は殆どいないものの、それでも各駅で数人ずつの登山客と思しき人々が下車していきます。今や数少なくなってしまった189系の長距離列車への乗車を楽しみつつ、暗いながらも所々に街灯などの光がゆっくりと流れ去っていく車窓の風景を楽しみながら、ぼんやりとして寛ぎます。そして早朝の4時11分に塩尻駅に到着。ここでは10分ほどの停車時間があるので、少しホームに降りてみることにしました。

とりあえずは降りた車両の側面の行き先表示幕を撮影。オーソドックスではありますが、いかにも旧国鉄車両らしい堂々たるいかめしさがあって、個人的には気に入っているタイプの幕です。

先頭車輛のところまで移動して、ムーンライト信州、のヘッドマークを近くで撮影してみました。白地に赤、というこれもまたオーソドックスな幕です。せめて前面幕なので、もう少しデザインなどに工夫が欲しいところですが、臨時快速という扱いである以上専用のものがあるだけで満足すべきなのかもしれません。

階段を上り、行き先表示の電光掲示板を撮影してみました。通常の定期列車も早いもので5時台後半から、とこの列車が随分と早朝時間帯に運転されていることが実感できます。とは言え、昔はこの地域は毎日、大阪からの長野行き夜行急行「ちくま」と、東京からの信濃大町行き夜行急行「アルプス」が接続をとる為に殆ど同時刻で運転されていたこともあり、この列車の停車もその当時の一つの名残なのかもしれません。

向かいのホームに移動して後方から撮影。時間的な問題もあり前に回っての撮影は諦めることに。夏場とはいえまだ夜も明けきらぬ駅に静かに佇む夜行列車。人々の移動もまだ殆ど見受けられない静寂の雰囲気が出ていて、中々いい感じです。

座席はこのように、青色と緑色のモケットを交互に配置した形になっていました。リクライニングを始め、今の特急列車のスタンダードからすれば車内設備は随分と簡素だな、という印象もありますが、一昔前の特急列車では皆これが標準的だったようです。

発車時間が迫ってきていたので、正面に回って撮影。189系あさま色の編成をじっくり撮影出来て満足しつつ、車内へと再びもどります。
ここからは松本まで乗車時間は10分ほどとごくわずか。関西への帰省などでよく利用している区間ではあるのですが、やはり早朝時間帯に走るとまた雰囲気も違って中々楽しいものです。普段はE257やE351系、そしてJR東海383系などが頻繁に走る区間を、あたかも一昔前の特急の様にして走っていきます。東の空をよく見ると、もう少し漆黒の空が次第に青みを帯び始めてきています。夜明けももうすぐだな、と思いながら、残りわずかとなった189系の疾走を楽しみつつ、列車は早朝4:32、乗換駅の松本へと到着しました。
03,松本→新島々(04:45→05:08)
↑新島々
3007
3008
↓松本
さて、JR線の利用はこの松本まで。ここからは松本電鉄を利用して、新島々まで移動します。ホームの移動自体は5分もあれば十分な距離に両鉄道会社のホームは位置しており、また松本駅では改札口は両社共通なのですが、早朝時間帯ということも考慮してか、12,3分の接続時間が用意されています。

駅の乗り場の電光掲示板を撮影。この列車はここから大糸線に入るのですが、種別表示もムーンライトとなっています。今は種別表示のみですが、この表示板は、この後行先表示、それと発車時刻表示の3パターンに切り替わっていた気がします。

先程まで乗車していたムーンライト信州91号を見送り、跨線橋を渡って松本電鉄のホームへ。丁度駅のホーム横のヤードの上を渡る格好になったので写真を撮影してみました。明曉の、まだヤードを煌煌と照らす灯りが印象的で、何気なく撮影したものですが結構気に入った1枚です。

ホームに到着すると、丁度列車が入線してくるところでした。列車は2両編成のワンマンカー。上高地など中央アルプスの各地へと向かう列車として、「Highland Rail」のロゴが付されています。

列車の種別表示を撮影。「快速」とあり、ここから終点の新島々までノンストップで運転されます。列車の運転時刻もかなり早朝であり途中駅からの地元客の乗降も殆ど見込めないうえに、専らムーンライト信州からの乗り換え客を目当てとして運転されている列車である、ということもあるのでしょう。

編成の前面に回って撮影。正面の運転席脇には、「上高地、乗鞍、白骨温泉」方面、と表示されており、各山岳地へと向かう登山客の為の列車としてこの鉄道が重要な役割を果たしているのだな、ということが実感されます。
一通り撮影が済んだところで車内へと入りこみます。乗客は先程のムーンライト信州から乗り継いできたと思しき登山客ばかり。列車の座席はロングシートで定員は90名ほどですがざっと数えたところでも述べ20人ぐらいの乗車でした。なので一人で3,4席分のスペースは確保されていたので皆が思い思いの場所に荷物をおろして寛いでいました。
そして定刻の4:45に発車。静かにドアが閉まり、列車はゆっくりと新島々を目指して発車します。終点までノンストップなので途中から乗客が乗り込んでくることもないので、これからの行程を確認したりしながら、のんびりと車窓を流れる景色を堪能します。松本を発車した時点ではまだ暗かったのですが、次第に夜が明けてきて、だんだんと車窓がはっきりと眺めてこられるようになります。上高地方面へと向かう列車とはいえ、終点の新島々からはさらにバスで1時間ほどかかるので、列車の運転区間は専ら松本平野を横断するといった雰囲気です。まだ薄暗い中で静かに揺れている水田の稲が印象的でした。そして、大分夜も明けてきて、明るくなったな、という頃合になって終点の新島々駅に到着です。

列車を下車した際に撮影した1カット。石造りのホームにシンプルな鉄骨の屋根があり、いかにも地方私鉄らしいローカルな雰囲気が漂っていていい感じです。早朝ということもあり松本駅では改札を行っていなかったので、この駅で運賃を精算して、上高地行のバスへと乗り継ぎます。