根知駅にて

さて、この後は暫くの間根知駅でキハ52を撮影することに。まずは先程の列車の15分後にやって来る平岩止まりの普通列車を狙います。

1年で1番日の出が遅いのは、冬至を過ぎた1月の10日頃。高校生の頃は自宅の出発時刻がその時期だけ日の出前だったのをよく覚えています。…、という思い出話はさておき、比較的日の出が早いこの地域でもまだ走行写真を撮影できるほどには明るくなっておらず、駅構内の雪山に三脚を突っ込んでバルブすることに。列車は来ていませんが、雪に覆われた北陸地域の小駅らしい雰囲気のあるカットになりました。

それでもって、やってきた次の普通列車は、平岩側を国鉄色にしたキハ52-115、糸魚川寄りをタラコ塗りのキハ52-156、というなかなか素敵な編成。三脚が傾いてしまったので大幅にトリミングを強いられ、カツカツの写真になってしまったのが残念ですが、こうして残り少ないキハ52が活躍する姿を間近で見られて良かったな、としみじみ。

振り返ってもう1カットも撮影。まだ薄暗く、列車は流れてしまいましたが、これはこれで風景写真の1つということで。
駅には私以外にも車で来ている同業者さんが何人かいましたが、発車後は皆いなくなってしまったのでしばし夜明け前の駅の雰囲気を楽しむことにします。

上下線を渡る構内踏切の中央より、糸魚川方面を向いて。明るくなりつつある世界を煌々と照らす、赤を現示する信号機、駅の街灯…、東京で過ごしていては滅多に見られない、幻想的な光景でした。

同じ位置から南小谷側を向いてもう1カット。重たい空気を感じさせる空の下、雪に埋もれながらも、線路は真っ直ぐに伸びていきます。
さて、その後はすることもないので駅付近を暫く歩いてみることにします。

駅前には民家が何軒か立っているのみで、いかにもローカル線の小駅らしい雰囲気。少し歩くとその家も途切れ、雪を被った木々が静かに並んでいる様子を見ることが出来ました。

そして、先程駅ホームから眺めてみた南小谷側の分岐器付近までやってきました。この付近は踏切になっているようですが、通る人もなく、腰の深さまでしっぽりと雪に覆われています。雪の中を走る二筋の鋼色の線路が、どこか頼もしさを感じさせてくれます。

変わって駅の糸魚川寄りを目指して歩いてみることに。駅を出てすぐの所には深いトンネルが伸びていて、線路がすっぽりとその中に吸い込まれていきます。

通り道で眺めた民家の軒先には、雪をかぶった木が1本、静かにまだ遠い春の訪れを待ちわびているようでした。
さて、そろそろ先程の普通列車が平岩より折り返してくるので、再び駅へと戻ることにしました。