14 長岡→只見(10:45→13:24)

↑只見、長岡
キハ47-514    3両とも首都圏色
キハ47-515(WC)
キハ40-583(WC)  ロングシート 
↓小出

そして、10:33、いよいよ臨時快速、只見リレー号が入線してきました。乗車位置がハズレだったらどうしよう・・・、とドキドキしながらの入線でしたが、並んでいた位置から比較的近くでドアが空いてくれたので、希望通りの座席を取ることが出来ました。
編成は上の表からもわかるように国鉄首都圏色、いわゆる「タラコ塗り」で揃えたキハ40,47系列で、両数はSLが率いる客車数に合わせたのか3連でした。ダイヤ情報で予め調べていたので別に戸惑いも無かったのですが、去年の秋のSL只見紅葉号の時には同じスジでこの列車に国鉄色キハ28+58が充当されていたので少し物足りないな、という感じがしていました。けれども国鉄色編成の気動車に3時間近く乗車できる機会もそうそうないので、乗ってみたらやはり国鉄型っていいなぁ、とつくづく実感します。
とりあえず座席に荷物を置いて、少しばかり車内の様子確認と撮影。入線時にも見ていたのですが、小出方1連は何故かオールロングシートで、車内はガラガラ。その為ボックスシート付きの残りの2両に乗客が集中する結果になりましたが、それでも長岡発の時点では1ボックスに2〜3人と、ロングシートに何人かの人々が見られる程度の乗車率でした。

ホームからの撮影。この渋い朱色とホームの無機質なグレーとの対照も綺麗です。

行先表示は「臨時」の幕でした。

同じホームからの縦アングルで撮影。
この後編成撮りをしようと向かいのホームまで廻ったのですが直江津からの普通列車が入線してしまい、被られてしまいます。結局この後只見まで編成撮りする機会はついぞ訪れず、ちょっと残念な思いをしました。

発車時間が近付いてきたので車内に戻ります。そして定刻の10:45にドアが閉まり、発車。殆どの乗客がSLまで通しで乗るようで、車内はイベント列車特有の少し高揚した雰囲気に包まれます。私の座っていたBOXの向かいの位置にも、びゅうのツアーと思しき高齢の方が座っていました。ところで先程狙い通りの席、と言いましたが、私が取ったのは進行方向逆向きの席。というのも、先程の編成表を見てお分かりの通り、この列車は小出で一旦進行方向を逆転させるので、肝心の只見線内で進行方向と同じ向きの席を取ろうとすると、この区間はその逆方向の席を取ればよい、と言うことになるわけです。なので、暫くの間は後ろ向きに流れてゆく景色を楽しみます。
宮内を過ぎると信越線と分岐し、列車は上越線を走るようになります。この区間上越新幹線が開業して以来、普通列車をはじめとする旅客列車はめっきり少なくなってしまいましたが、現在でも貨物列車の大動脈である為線形もしっかりしており、気動車ながらゆるい上り勾配を、80〜90km/hはあろうかという速度で快調に飛ばしていきます。長岡〜小出の営業キロは33.4km、これを28分で通すので表定速度は70km/h前後となるので、結構な駿足です。車窓には田植えが終わったばかりの水田が一面に広がり、背景の山は新緑で色とりどりの緑を添えているので、単調な景色でも見ごたえがあります。今まで18きっぷでばかり旅行してきた身にとってはこの時期に旅行すると新たな発見が多くて楽しいですね。この区間でも少数ながら撮影者の姿が見られました。小出近くでは魚野川が車窓に見えます。

その後、一旦速度を落として、上越線から只見線の線路へと転線します。これも通常の旅客列車では経験できない珍しいシーンです。車窓からは只見線の線路が分岐して伸び江行くところが見られました。

そして、定刻通り11:13に小出に到着しました。
小出では水上発の上越線普通列車と接続するので、普通きっぷユーザーでしょうか、何人かの人々が乗り込んできましたが、ボックスが概ね埋まっているのを見るや、殆どの人がガラガラだったロングシート車両へ移っていったのでそれほど窮屈な思いをしなくて済みました。一通り動きが終息したところで、しばし撮影。停車ホームはやはり一番端ホームだったので編成撮りは出来ず、構内からの撮影となりました。

小出駅只見線ホームはもともと有効長が短いようでホーム端まで行っても、このような広角の構図が限界です。

島式ホームの反対側には、通常の普通運用に就く、東北地区色のキハ40系の2連が停車しておりました。430D(小出13:17→会津若松17:18)の運用に就くようなので、発車まで2時間近くあることもあり、車内は締め切り、エンジン音も休止していました。
10分少ししかなかったので跨線橋を渡っての撮影は諦め、再び車内に乗り込みます。そして定刻の11:25に発車。今度は順方向で車窓を楽しめます。
発車後すぐに、大カーブを曲がりつつ、先程の魚野川を渡る橋梁に差し掛かります。せっかくなのでその際の写真をあげておきます。

そして、朱色一色に塗られたキハ40、47系は非電化単線の只見線をゆっくりと走り始めます。先程と同じ綺麗な水鏡が映える田園風景の中を走っていきます。

同じような光景でも、非電化区間だと架線柱がなく、そして単線であるおかげで周りの風景との距離感はぐっと縮まったように感じられ、農村の中を旅しているな、という感慨がますます深まってきます。また路線もだんだんと山中に分け入ってゆく格好になるので、気持もそれにつられて高ぶってきます。そんな中で、一旦集落の中に入り越後須原に停車です。殆どの人がSLまで乗り通すため乗降は確か0だったと思いますが、地元の人が歓迎の旗を立てて見送ってくれていました。
越後須原を発車すると山が迫ってきて、何遍か先程の魚野川の支流、破間川を渡るようになります。どんよりした曇り空ですが、川面に映る新緑が色とりどりで綺麗です。

この辺りで数名の人々がカメラを構えて撮影していました。多分に、乗客である私たちが思っている以上にこの首都圏色と新緑のコントラストは綺麗な構図になるのかもしれません。免許を取ったら一度撮影に行ってみたいものです。
そうして、正午過ぎに大白川に到着です。

大白川の到着は12:02、発車は12:52と、なんと50分も停車します。もっと早く出発してくれれば、只見駅でSLの転車台運転などが見られたのにな・・・、と思ったのですが、ここの長時間停車の理由はまさにその「転車」とその後の機回しにあります。というのも、只見駅は単純島式1面2線の駅なので先にリレー号の編成が入線してしまうと、SLが機回しする線路が塞がれてしまうので、先に只見駅でSLの機回しが完了しないと、このリレー号も入線することが出来ない、という訳です。
時間はたっぷりあるので、まずは車窓の破間川を眺めつつ新潟で買った駅弁を食べます。こうやって停まってはいるものの列車の車内でゆっくりと食べると、駅弁っていいなぁ、とつくづく感じてしまいます。海鮮丼の類の弁当でなかなかおいしかったです。残念ながら弁当の写真は撮っていないのですが、車窓はこんな感じでした。

10分と少しで弁当を食べ終わり、今度は車外に出て山間部の空気をたっぷり楽しみつつ撮影。編成は川側の線路に入っていたため、またしても編成撮りは不可能だったので時間もたっぷりあったこともあり、色々構図を考えつつ撮影してみました。

駅構内の踏切から、只見方を向いての撮影。ますます山深いところへ入っていくな、という感じがします。

改札を出て少し歩くと、駐車場と思しき所があり、そこから駅構内全体と、編成を撮影。背景の山の新緑も綺麗です。

その辺りから、今度は望遠レンズを使って、駅名表と首都圏色の車体を絡めて撮影します。只見線のSLとそのリレー号ももう恒例行事となってきているようでちゃんと長岡―小出―只見のサボも準備されています。

線路際に咲いていた花を川面を背景にして。こういう構図も楽しいですね。

ホームをじっと見守るキハ47系。確か友人が似たアングルで撮っていたのを思い出しての撮影でした。
この他駅舎の2階には土休日限定営業の蕎麦屋さんがあるようで、何人かの人がそこで食事をしていました。他にも写真は沢山撮ったのですが、全部を説明しているときりがなくなってしまうので、これぐらいに留めさせていただきます。
ゆっくり撮影を楽しんだ後はしばし山中の雰囲気を味わいます。只見線は高校の時に一度通ったことがあったのですが、大白川の駅では殆ど停車時間がなかったので、これだけ子の駅でゆっくりできたのはいい経験でした。発車時刻が近付いてきたので、車内に戻ります。50分ごろに運転士、車掌さんが乗車してきて定刻通り、12:52に発車です。
大白川から先は先程の破間川の支流の末沢川を何遍も跨ぎながら、ますます山深い中へと入っていきます。この辺りからは彼の有名な六十里越ということもあり、だんだん上り勾配がきつくなって来たのが感じられ、エンジン音の高まりからもその険しさが感じられます。事実この大白川とその隣の駅の田子倉間は下り列車は19分かかるのに対し、このリレー号と同じ向きの上り列車は23分かかっているので、やはり相当の鉄道の難所だったのだなあと感じられます。この辺りの車窓の風景を一枚載せておきます。

そして、車窓に山肌が迫ってきたな、と言うところで、列車は長いトンネルへと入ります。いよいよ只見線最大の難工事の傑作、六十里越トンネルです。全長は6.359mと通り抜けるのに10分近くかかり、その間には殆ど照明も無いため列車の中は暫く別世界のようになります。気動車のエンジン音とレールを擦る音がトンネル中に反響しますが、これがいかにも鉄道トンネルらしくてこれもまた風情があります。このトンネル内で新潟県から福島県へと県境を跨ぎます。そして、前方から少しずつ光のようなものが見えてくると同時に、ぱっと景色が開け、新緑を背景にしたダム湖が目に入ります。漸くトンネルを抜けた訳です。ダムの対岸の国道252号線からは、撮影のためのカメラを構えた人たちが何人も見られました。

そして、冬期休業となってしまう秘境駅田子倉を通過、駅全体がスノーシェルターに覆われているので、雪よけの中を通り抜けたのかな、という感じがしてしまいますが、これで一つのれっきとした駅です。そして今度はすぐに田子倉トンネルへと入ります。先程のトンネルよりは長くはないのですが、やはりトンネル内独特のひんやりとした空気が、車内にいても伝わってきます。
7.8分ほどでこのトンネルも抜け、只見近辺までやってきました。ここからは車窓には只見川が見え、以降は会津坂下付近までずっとこの川を眺めながら下っていくことになります。

この近くの踏切からも何人かの人が撮影をしているのが見られました。そして、ほぼ定刻通りの13:24、列車は終点の只見駅に到着しました。約3時間あまりの乗車でしたが殆ど長さを感じさせない、いい列車でした。