15 只見→会津若松(13:39→16:47)

会津若松
C11-325
スハフ42-2173
オハ47-2266
スハフ32-2357
↓只見

さて、今旅行も終わりに近づき漸くのSL乗車です。牽引は例年通り真岡鉄道からの借入車両、C11-325に旧型客車3両繋いでの運転です。只見駅に付いた時点ではまだ客扱いはやっていなかったので、先程のリレー号の編成を何とか撮影できないかとホームから一旦降りてみると、何とか足回りまで撮影することが出来ました。

リレー号は到着5分後の13:29には発車してしまいます。新緑の山に包まれた只見駅に、ディーゼル音が響きだし、ゆっくりとリレー号は発車していきました。

この後は時間もあまりないのでとりあえず駅舎まで行ってみました。駅前には昨日今日限定と思しきSL客向けの屋台が見え、土産物や地域の特産品などを販売していました。また、駅舎には只見SLを歓迎する旨ののぼりが立っており、只見線のSLが地域に広く受け入れられているな、という印象を受けました。

改札横には、臨時列車としての手書きの時刻表が貼り付けられていました。こういう素朴な張り紙もまたいいですね。

時間も押してきたので、いよいよ客扱いも開始したSL旧客に乗り込みます。今まで意識してこういった旧型客車に乗ったのは初めてだったので、木張りのデッキや廊下、レトロ調の碧いシートモケットはすごく新鮮な感じです。

この客車で新緑の只見線の旅が楽しめ、本当に今回旅行に来て正解だったな、と感じました。
そして定刻通りの13:39、声高な汽笛を渓谷に響かせて、発車です。私の取っていた座席は進行方向逆向き通路側の席だったのですが、幸運なことに同じボックスには誰も乗車していなかったので、順方向窓側の席を取らせていただきました。ガタンという軽い衝撃とともにゆっくりと客車が動き出します。乗っていたボックスは進行方向右手側だったので、はじめのうち暫くは山側になりますが、それはそれで新緑の山の様子が手に取るように見えて結構楽しいです。発車後暫くして、切符の検札と記念乗車証の配布がありました。車内は主に親子連れや、私と同じような鉄道ファン等で賑わっておりましたが、直前のキャンセルの影響か、若干数の空席も見られました。
10分ほどして、有名な撮影地である、会津蒲生〜会津塩沢間の只見川第八橋梁に差し掛かります。下流に滝ダムというダムがある影響で、反対側の川は一面湖のようになっており、それを対岸の国道から撮影するのが定石の構図だそうで、予想通り何百人もの人々が一斉にシャッターを切っているのが見えました。列車もそれを見越してか減速運転、そして大きな汽笛とともに多量の煙を吐き出します。
その後また10分ほどすると只見川第7橋梁を通過。今度はこちら側の車窓が川になるので、暫く只見川を車窓に楽しめます。この区間はダムが多く、殆どの場所では湖のようになってしまっているのですがそれでも十分綺麗です。

この後会津川口までが一番景色を楽しめる区間だったように思います。いくつかの車窓の光景を載せておきます。


そして14:22に会津川口に到着です。停車時間は短かったのですが、駅のすぐそばに満々と水を湛えた上田ダムのダム湖が広がっている駅で、確かJRのポスターでも扱われていたように思います。前にも一度来たことがあったのですが、とりあえず駅の雰囲気だけはと思いホームに降りて撮影です。

中央に見えるアーチ型の橋が、新緑の山とダム湖の光景に一つのアクセントとなっていい感じです。ここも撮影地となっているようで、この上から何人もの人がカメラを構えている姿が見られました。

駅名表とグレーのホーム、セピア色の旧型客車の対比が綺麗です。まるで一昔前に戻ったかのような雰囲気です。

会津川口からは私の座っていた席の向かいに人が乗ってきました。行きは撮影し、帰りは乗車、という旅程で来られている、毎年常連の方のようで、色々雑談を交えつつ景色を楽しむことになりました。この区間でも沢山の撮影者が線路脇や、川の向かいなど様々な所に見られ、また並走する国道252号線は、おそらく追っかけ撮影の方と思しき車でかなり交通量が多かったように思います。先程と同じような新緑の山々と只見川を眺めつつ、ゆったりとした時間が流れてゆきます。定期運用のキハ40で乗っても十分楽しめる路線ではありますが、こうやってSL牽引の旧型客車だと、感慨もひとしおです。
25分ほどで会津宮下駅に到着です。今度は10分少々停車時間があり、ホームではその待ち時間で地域の土産物や特産品を買ってもらえるよう二日限りの売店が並んでいました。興味はあったのですが、とりあえず撮影しようと一旦駅舎の外に出ます。

駅舎は平面建ての建物に最近リニューアルしたと思しき玄関を取りそろえた形をしていました。中には往年の優等列車のサボや、もちろん今でも用いられているタブレット交換機、そしてダイヤグラムなどを眺めることが出来、眺めていると楽しいです。

ホーム脇まで廻って編成全体を撮影。点検のためか、作業員さんたちが各動作部分をチェックしている姿が多く見られます。やはり現在の電車かそれ以上に繊細な部品の数々で出来ていますし、その上年季も相当なものでしょうから、運行にはやはり相当の苦労がつきものなのだなぁ、と実感してしまいます。

先程と同じ位置からアップでの撮影。たまたま煙を大量にはいてくれたのでSLらしい雰囲気が出ました。
この後再びホームに戻り、向かいのボックスの人が地元産と思しきけんちん汁を購入していたので思わず私も買ってしまいました。そして、おもむろに発車しだした客車内で賞味。¥400程度でしたが、味は美味しく旅の記念には丁度良かったです。
この辺りを過ぎると只見川沿いとはいえ、だいぶん景色が開けてきて、車窓には水田なども見られるようになりました。水鏡として撮影すると綺麗な構図になりそうです。

そして、また同じく20分少しぐらい走ると会津柳津に到着です。ここでもまた10分弱の停車時間があったので、カメラを持って下車してみました。

駅舎はこのような平面建ての建物でした。同じく下車して撮影している人の姿も見受けられます。あと、この近くに非動態保存ですが、この牽引機と同じC11-244が展示されてありました。

ここでは停車時間がそこまで長くなかったせいか、駅構内での販売は見られませんでした。ここの駅では辛うじてSLがホーム内から撮影できる位置に停まっていたので、撮影者たちの波が途絶えた一瞬の間をついて何とか撮影した写真です。

少し遅くなりましたが、今回SL側面に取り付けられていたサボです。キハ40からの借用かな・・・、とも思いつつもちゃんとサボを提示してくれるとそれだけで気分も上がります。
発車時間も迫ってきたので車内に戻ります。次の停車駅は会津坂下ですが、この区間で路線は只見川から離れ、会津盆地へと入っていくことになります。途中の会津坂本塔寺間では、只見線最後のトンネルがありました。今まであまり触れませんでしたが、やはりSLの単独牽引とあって、煙は相当のものです。窓を開けると、普通の区間を走っている時でさえ体が相当煤まみれになってしまうものなのですが、ましてやトンネルの中だと悲惨なことになってしまいます。そういう訳で、添乗の乗務員さんがトンネル毎に窓を閉めてください、と連呼していました。そうしたトンネルも最後とあって、窓閉めへのご協力ありがとうございました、と最後の一言がありました。
この区間で山から平野へと下ってしまうので、車窓も大分平野らしくなってきます。

このように水田が広がっています。満々と水を張った、田植え直後の水田も綺麗ですね。和歌で言う、「季語」のように、四季を通じて様々にその姿を変えていく水田の姿というのも、一つ日本人の心の中に溶け込んでいる季節感の象徴であるようにも思いました。
この後は終着の会津若松まで長い停車時間のある駅はないので、ゆっくりと車窓を楽しむことにしました。会津坂下の駅舎では何故かあかべえの置物が置いてあったり、また発車時には近くに住んでいる子供たちが総出で手を振ってくれたり、色々と飽きることのない車窓でした。西若松を過ぎるともう会津市街に入ってしまったような感じです。そして、列車はゆっくりと減速し、最後の軽い衝撃とともに終点の会津若松に到着しました。只見線を通しで乗ったのはこれで2回目でしたが、SLともあり、今回は本当にいい旅行になったなあ、とつくづく実感しました。