28,木次〜備後落合(10:00〜12:12)

↑備後落合
スハフ13-801(オープンデッキ)
スハフ12-801(控え車)
DE15-2558
↓木次

さて、木次からは終点の備後落合まで、観光列車として運転されている「奥出雲おろち号」にて移動します。夏休みシーズンは先程の普通列車を置き換える形で松江、あるいは出雲市始発で運転されることも多い列車ですが、この日は木次からの運転でした。

ホームに降りて散策してみると、これから乗車する「奥出雲おろち号」が構内で入替の準備をしていました。先程の普通列車が到着してから、入替作業を開始する様です。

先程の普通列車は、暫くしてから入替線へと引き上げて行きました。鋼鉄車2輌、ステンレス車1輌のカラーリングの違いが印象的ですね。個人的には、全面が塗装されている鋼鉄車の方が絵になる雰囲気があっていいのですが。

キハ120の入れ替えが終わると、先程の奥出雲おろち号編成は一旦備後落合方の線路へと引き上げてから、ホームへと入線してきます。前面展望を意識してか、ここから備後落合まではスハフ13が先頭に立つので、DE15が前照灯を照らしている姿を眺めることが出来るのも、この駅だけのイベントです。

山間の小さな駅に、ゆっくりと列車は入線してきました。顔アップで撮影するとやはり前面のナンバープレートが途中で途切れているのが気になります。

そして列車はホームに到着。連休中ともあり、家族連れなどでホームは結構賑わっていましたが、同業者の数も少なめで、比較的ゆっくりとした雰囲気で発車までの時を過ごすことが出来ました。正面のナンバープレートの形が崩れていたので、側面のプレートを撮影。周囲が白一色に塗られているのですが、銀色の文字盤の輝き方が印象的です。

機関車方のヘッドマークを撮影。龍の形を象ったシルエットもあり、思った以上に洗練されたデザインだな、と感じました。

そして、構内踏切から編成全体を撮影してみました。スハフ13-801は推進運転用の運転台も設置されていて、原型とは随分違った印象を与えています。客車全体もオープンデッキに改造されていて、すっかり観光列車らしい雰囲気に改造されていました。

一通り機関車の入替が終わった後は、発車までまだ暫く時間があったので、途中下車印を貰いつつ駅前に出て、駅舎を撮影。小さな平屋建ての駅でしたが、駅名表記の上のステンドグラスを始め、全体が綺麗に整備されていて、中々好印象を与えてくれる駅でした。

再び駅構内に戻り、ホームの宍道方から奥出雲おろち号編成を撮影。何処か昨日、一昨日と乗車したほのぼのSUN-INのカラーリングと似た雰囲気の、白と群青の縞模様が機関車、客車を含めた全体を通して塗装されていました。

先程のキハ120は、ホームの宍道方で静かに停車していました。

発車時刻も近付いてきたので、そろそろ車内へと乗り込むことに。乗車前に側面の方向幕を撮影。字が斜字体になっているほかは、白地に黒と赤の文字でデザインされた、結構シンプルな幕ですね。
さて、その後はいよいよ車内へ。一応指定席券はスハフ13の車両を割り当てられているので、オープンデッキのスハフ13に乗り込みます。指定席券は早めに購入していたのですが、直前になってMVで調べると満席になっており、結構乗車率は高いのかな、と想像していると、案の定乗客数は随分多く、実際殆どの席が観光客で埋まっていました。ですがやはり定期の観光列車ともあり、車内は随分ゆったりとした雰囲気に包まれていました。
そして列車は10:00丁度に木次駅を発車。地元のガイドの方も乗車しての出発となりました。

木次線も地元の交通の足としてよりは、むしろ陰陽連絡の1路線として建設されたきらいもあり、険しい山岳区間をいくつものトンネルやスイッチバックで抜けて通した雰囲気があります。スハフ15からは前面展望が楽しめたので、トンネルに入る瞬間をカメラでとらえてみたりしました。

20mレールが淡々と鉄路を紡いでいきます。先程の写真にも写っている、トンネルの出口付近からの展望を撮影してみました。幾重にも重なるススキの穂が、晩秋の空気を感じさせてくれます。

折角なので運転席脇のスタフも撮影。実際はこの時刻より若干遅れての運転でした。

始めのうちは大半の乗客がオープンデッキのスハフ15に乗車していたので、折角なので12系客車の雰囲気を残すスハフ14側に移動してみました。いかにもシンプルな造りの簡易リクライニングシートがいかにも12系客車らしいですが、控え車としての利用を想定しているためか、車内はボックス席の形にシートが倒されていました。

列車は紅葉の山奥をゆっくりと登って行きます。静かにたたずむ秋の光景に、東京とはまるで違った時間が流れているかのように感じました。

トンネルに入ると、車内の天井にある龍の形をしたイルミネーションが光るようになっています。単色ではなく、時を追うに連れて少しずつ色合いが変わっていくのも魅力的です。

この日は綺麗に晴れ、関東よりは1カ月程遅い紅葉を楽しむことが出来ました。

途中の出雲横田駅ではキハ120の普通列車と交換。備後落合からの列車ともあってか、こちらは単行での運転でした。
その後も列車はゆっくりと山間を登って行き、20分ほどでスイッチバックのある出雲坂根駅へ。駅のそばに延命水という水があり、短いながらも停車時間を利用して水を汲みに行った人も何人か見かけました。停車時間は3分ほどしかないのですが、折角のスイッチバックの駅ということで、せめてもう少し停車時間に余裕があってもいいのにな、と思ったりもします。

ともかく、乗客が全員戻ったところで、久々のDL牽引という形でスイッチバックへ。個人的には客車列車はやはりこちらの形の方が自然な気もするのですが・・・。

スギ林の中を行く車内から、木次方面の線路が次第に遠ざかっていくのを見ることが出来ます。

そして、列車は一旦引き揚げ線に入った後は、再び備後落合方面を向いて出発します。中国地方ながらもかなりの豪雪地帯ともあり、ポイントを含むこの部分の線路全体がスノーシェルターに覆われているのが印象的です。左側の信号が進行現示に成ったのを確認して、出発です。

左側が備後落合への線路、右側が出雲坂根駅への線路。山間で、静かに2つの線路が分岐していきました。

見下ろすと、山の斜面に沿って2本の線路が伸びているのを見ることが出来ました。

そして、スギ林のシルエット越しに、先ほど停車していた出雲坂根の駅を眺めることが出来ました。

この後の車窓からの名所、と言えば、こちらの「奥出雲おろちループ橋」。急勾配の出雲坂根三井野原間は、鉄道もスイッチバックやトンネルを使って大きく迂回して線路がひかれているのですが、同様に道路に関してもこの区間は相当の難所だったようです。最初に見えてくるのは、ループ橋を登り切ったところに見える、三井野大橋のようです。逆光ですが、赤いアーチ橋が綺麗ですね。

道路橋は2度のループを繰り返して、ゆっくりと峠を越えて行きます。車窓からも間近に、高架橋を眺めることが出来ました。

列車も急勾配のため、ともあり非常にゆっくりとした速度での運転。一旦長いトンネルを抜けると、壮大なループ橋を一望できました。山頂付近ではもう紅葉が終わってしまっているようですが、山間に広がるコンクリート橋は中々印象的な景色でした。

峠を登りきると、今度は先ほどの三井野大橋を反対側から臨むようになります。雄大なアーチ橋を、綺麗に順光でおさめることが出来ました。冬の訪れを感じさせる澄み切った空の下で、静かにたたずむ橋を眺めることが出来ました。

列車が進むにつれ、少しずつループ橋を見下ろすアングルも変わっていきます。

そして、並行する国道314号線の三井野大橋が近付いてきて、この区間ともお別れです。そして、列車はゆっくりと三井野原駅へと近づいて行きました。

この付近になると、標高も大分上がり、その分大分寒くなってきたので乗客の方々は大半がスハフ15から控え車のスハフ14の方へと移動してしまい、むしろオープンデッキ車両の方がガラガラ、という状態に。折角なので、ひんやりとした冷気に耐えつつも車内の座席を撮影。こちらは進行方向と平行に設置されたベンチ型の座席でした。

そして、こちらが一般的な木製のボックスシートの座席。どこかJR北海道ノロッコ列車系列の車両と似ているような気がします。

峠を越えた列車は、ゆっくりと線路を下って行きます。常緑樹の杉の並木と色づく落葉樹のコントラストが綺麗です。
三井野原や次の油木の駅で下車した人が意外に多く、終点に近づくに連れて車内は随分空いてきたような印象を受けました。
そして、列車は終点の備後落合に、若干の遅れをもって到着。訪れる人も少ない山間の路線を、ゆっくりと楽しめた2時間あまりの乗車でした。